京舞は2回に分けて行われたが、その間に、芸妓・舞子さんは各テーブルに回り、記念撮影をしたり、白い手で金賞受賞酒を注いでくれるサービスがあった。
これには、男性の参加者は言うに及ばず、女性の参加者も大喜びで記念撮影をしては、“綺麗!!”、“可愛い!!”が各テーブルから聞こえた。
筆者も、舞妓さんから英勲の大吟醸酒を盃に注いでいただいたが、正直これに勝る瞬間は無い。
この瞬間こそがまさに「英の刻」である。
英(はなぶさ)は勿論「英勲」の英だが、辞書を引くと
はなぶさ 【花房/英】
(1)花が房状に群がり咲いているもの。また、その花。
(2)花の萼(がく)。[和名抄]
京都・舞妓・英勲・京懐石と言う花々が咲き誇った状態、これが英(はなぶさ)である。
そして花を盃に受けたその瞬間が刻(とき)である。
飲み干すには惜しいが、盃の中の全ての英をいただくことにした。
舞妓美代治さんは大阪の方で、当年20歳。
テーブルごとに“可愛い”といわれる筈である。
【本日の銘酒】
今回のテーマである「地産地消」を造りにおいても実践している齊籐酒造は、金賞受賞酒も京都の酒米「祝」を使用している。
10年連続して山田錦を使い金賞を受賞し、平成20年の鑑評会で初めて「祝」を使い金賞を受賞したのは、実力のある蔵の証拠といえる。
酒米「祝」:(以下英勲のパンフレットより)
『酒造好適米の中でも「祝」は米粒が大きく芯白が鮮明にあらわれ、吟醸造りに適した酒米で、京の水に適したきめ細やかでやわらかくふくらみのある味わいを醸し出します。
祝米は昭和50年代に一度途絶えましたが平成4年に復活し、京都の酒造家の酒造りに対するたゆまぬ技術の研鑽の結果、その味わいは高く評価され、酒造好適米「祝」はその酒造適性おいてトップレベルと評価されるまでになりました。
また、京都府下だけで作られている京都特産の酒米であり、この「祝」で造った酒こそ本物の京都の味、京の酒を造るにふさわしい酒造好適米と言えるでしょう。』
会場受付のテーブルには、この快挙に対する感謝状および金賞受賞賞状が、誇らしく展示されていた。
質問の時間があったので山田錦から祝いに変えたのは大変な冒険だったと素人でも考えるが、どのような点が難しかったか質問してみた。
藤本取締役製造部長の説明では、「山田錦は芯白が大きくストライクゾーンが広いので扱いやすい。祝いは芯白ははっきりとしているが山田錦に比べれば小さいのでストライクゾーンが狭いので、その分注意が必要であり苦労する。また、吸水率が高い為、洗米浸漬に注意が必要で、時間を掛けすぎると米が潰れてしまうので、秒単位の時間管理が必要です。」との説明であった。
齊籐酒造の酒の共通項は、透明感にある。味は厚みがあるが、透明感は高い、それが渋味の無さに因るものなのか解らないが、品位を感じさせている。