<筆者の寸評>
評価は筆者の個人的嗜好によるもので、客観的なものでは無く、評点の数値は意味はありません。今日の評価の序列を表している意味しかありません。
- 長珍 阿波山田65 純米 無濾過生 19BY
酸のふくらみはあまり感じない。スッキリとした入り口で、やや苦味のある味、後口がやや重い。評価7.5。
- 長珍 生生熟成5055 純米吟醸 無濾過本生 18BY
香りよい。ふくらみのある酸。底に苦味と辛味。後口は辛味系。評価8.0。
- 長珍 純米60 無濾過生 19BY
香りは麹の香り。発泡感あり新酒のピチピチ感、酸のふくらみ。後口は酸味系。残り香はネーブルの香り。評価8.0。
- 長珍 特別純米 火入れ 18BY
スッキリとした入り口。仄かなカラメル臭。酸はスッキリしている。癖のない旨みのある酒。燗にしたい。評価8.5。
- 長珍 特別純米 火入れ 15BY
老香無い。カラメル臭。こなれた酸、枯れた味わいがあり、甘く感じることもある。後口に癖を感じない。評価9.0。
- 長珍 純米吟醸 山田錦 火入れ 17BY
仄かなカラメル臭。酸は膨らまず落ち着いている。底に苦味があり、後口はスッキリしている。評価8.5。
- 長珍 純米吟醸 山田錦 火入れ 18BY
香りは感じない。甘い入り口、スッキリとしたバランスの取れた味、後口良い。柔らかいまろやかな舌触り。評価9.0。
- 長珍 純米吟醸 無濾過 生詰 兵庫山田錦 火入れ 15BY
香りは感じない。まるい穏やかな入り口。バランスの取れた偏りのない世界。熟成による味の纏まり・旨みが上品さを伴っている。まだピークを過ぎていない。苦味が底にあり、後口を締めている。今日最も美味しかった銘酒。評価9.5。
- 長珍 純米60 無濾過生詰 火入れ 17BY
立ち香は感じない。酸のふくらみ・旨みあり。後口の癖はない。残り香は仄かなカラメル臭。評価8.5。
- 長珍 純米65 無濾過生詰 火入れ 18BY
香りはない。バランスの取れた酸のふくらみ、旨みあり。後口の癖無し。評価9.0。
- 長珍 純米吟醸 にごりざけ 19BY
醪の世界である。酸味のある味、トロリとした舌触り、ザラついた食感、後口は、麹の味、甘酒の味。評価7.5。
色々な味わいの銘酒が揃っており、桑山杜氏が楽しんで造っておられる事が判る出品酒であった。
最近流行の無濾過生原酒もあり、1、3は酸が生きている正に無濾過生原酒である。
筆者は、熟成した長珍が新酒より好きである。8のバランスの良い味の上品さは新酒の世界にはないものだ。
【今日の料理】
鮪の煮物、練り物、おひたし、大根、枝豆
お刺身(間八、鯖、蛸)
岩牡蠣
鶏唐揚げ
海鞘(ほや)の酢の物
漬け物(胡瓜、大根、エシャレット?)
雑炊風茶漬け
【感想】
- 酒屋はやし&ごとう屋さんの長珍企画の第2弾である。昨年の蔵見学は、見学できない蔵が見学できる貴重な機会であった。
今回は、杜氏の桑山さんに同席いただいて、長珍の銘酒の世界を楽しむ企画である。
これも貴重な機会である。
お陰様で蔵・杜氏・酒の幻がかなりの部分現となった。
- 長珍の熟成酒を飲むと、日本酒にとって熟成が重要なことがよく理解できる。
しかし、熟成の経路についてはよく解っているとは言い難いのが現状である。
判っている蔵元・杜氏も存在するかも知れないが、筆者には全く判らない。
- 造りをどうするか(米・酵母・熟成専用か否か)
- 容器(タンク・瓶)
- 火入れのタイミング
- 熟成温度
熟成に影響する要素は無限にある。
よく解らない領域なだけに興味深いものがある。
- 今、関心があるのは香りのある熟成酒である。
熟成酒の香りと言えば、老香、カラメル臭、紹興酒臭などが頭に浮かぶが、これらは常温熟成のものである。
低温熟成の熟成酒は、香りをあまり感じない物が多い。味はバランスのある上品な旨みがあり、これこそ熟成酒の旨みと思う物はある。今日の出品酒の8「純米吟醸 無濾過 生詰 兵庫山田錦火入れ 15BY」は正にこれである。
昨年蔵見学の際、利かせていただいた「純米大吟醸 無濾過 火入れ 13BY」は林檎のような爽やかな香りのある熟成酒であった。熟成酒にも香りがある物が存在する事が判った最初の体験である。その後、各種熟成酒を利いたが香りのある物には出逢っていない。この点に関してはまだまだこれからである。長珍のウオッチが必要な所以である。
報告:Y