【料理】
案内には、芋煮を囲んで銘酒を楽しむと書いてあった通り、玄関で大鍋で煮た芋煮をホールの中に少しずつ運んで、自由に配布する。おかわり自由である。
写真を取り忘れてしまったが、具は里芋・蒟蒻・椎茸・人参・大根・鶏肉もしくはツナ缶、山形の甘い醤油の芋煮ではなく味噌仕立ての薄味の味付けである。酒の邪魔をすることのない味付けである。
プラスチックの丼に一杯盛りつけられたので、一杯で満腹になってしまった。
おにぎり・漬け物(粕漬け大根、沢庵、山牛蒡の味噌漬け、青菜)も用意されていた。
給水タンクには、七笑酒造の仕込み水が用意され自由に呑むことが出来る。
2時間の間、利き酒と平行して参加蔵の挨拶、利き当ての結果発表、抽選会が行われており、賑やかしい。
終了時間になり、残った酒は気に入った人が持ち帰ることが出来るが、持ち帰り代を払う必要がある。
この額は鵜飼店主と話し合って決めることになる。売り上げは寄付されるそうである。
大吟醸の綺麗な酔いに満足して外に出ると、晩秋とはいえまだ昼の二時。
まだ明るく、陽射しの中を歩いていくと、酔いと陽射しでポカポカして、本当に快い。
酒の会は夜が多く、冬など外は寒く、酔いが飛んでしまうこともありがちだが、今日は違って昼である。
手に入れた「龍力」の袋をぶら下げて千鳥足で歩む道は秋の陽射しが一杯で、植え込みの紅葉も美しい。
長閑である。
申し訳ない程気分がよい。
会を開いていただいた酒のうかいに感謝、酒を醸してくれた蔵元・杜氏に感謝である。
バス停に立ち、春日井方面を観ると通りに植えられた南京櫨が陽射しに映えていた。
【感想】
春の鵜呑会に続き2回目の参加だが、気持ちの良い会である。
日本酒を楽しむという事が飾り無く提供されている。
春は落語の真打ち名跡春風亭柳橋の高座があったり、会場も中心部であり、それでも会費は3000円であった。今回は会費1000円である。これは商売ではない。
高額な大吟醸も含めた全国の銘酒を飲みきれないほど揃えてこの会費である。申し訳ない程である。
東京では2,3万、名古屋でも1万の会費が珍しくない日本酒の会、「桃呑会」は1000円である。
酒の会にホテルが必要だろうか、ホテルのオードブルが酒に合うだろうか。会場は酒を並べる広さがあればよい。
貸し切りの桃ヶ丘会館は落ち着けたし、芋煮は日本酒にあったし、横文字オードブルでなくとも漬け物、おにぎりで充分なのである。
これは商売ではない。日本酒と人に対する志を感じる。
布施の事業である。残酒チャリティの売り上げは事前に寄付が物語る様に慈善事業なのである。
そうとしか思えない。それだから気持ちがよいのかも知れない。
来年も楽しみにしよう。
(報告:Y)