春の試飲会(報告済み)も内容の濃い、日本酒の愛好者・小左衛門・始禄の愛好者にとって得難い機会であったが、今回の試飲会も普通の蔵開放とは雰囲気の異なる貴重な体験の出来る場であった。未参加の方にはお薦めしたい試飲会・蔵開放である。
今回の試飲会は4本の柱から構成されている。
- 小左衛門・始禄の試飲
- 蔵見学
- 新醸造年度(19BY)の醸造計画の説明
- 「みくに茶屋」による秋の味覚
(2~4は春の蔵開放では一般向けには無かったサービスである。)
今日は瑞浪駅を出て真っ直ぐに進み土岐川に出て、川沿いの道を歩くことにした。
土岐川に掛かる明徳橋の舗装には、竣工時の子供達の記念タイルが埋め込まれている。
春の試飲会の時は気づかなかったが桜並木が蔵元若葉の辺りには少しある。この桜並木が川沿いを埋め尽くせばよいのだがとまた考えながら歩いた。
中島醸造に着くと、すでに先客の参加者が開場を待っている。日本酒の縁で顔馴染みの人も多く、其処此処で挨拶が行われている。同好の士の集まりである。和やかなものである。女性の姿が目につく。
受付で記名を済ませ、プラスチックのお猪口をいただく。春と同じく会費無料である。何か申し訳ないような感謝の気持ちで、試飲会場に入る。
春と同じように真ん中が通路で左右に試飲酒が並べられている。殆ど1升瓶である。瓶の先に注ぎ栓がつけられているので参加者は自分で好みの量を注ぐことが出来る。
今回は銘柄の一覧表がないので、データを取るために写真を撮ることにした。数えてみると23銘柄である。
【小左衛門・始禄試飲印象】
個人的な嗜好による印象であるが試飲の感想を書いてみる。
(元より普遍性を持たないので、限定的な評価として読んで貰いたい。)
- 始禄 爽(サヤカ) 本醸造 17BY
落ち着いた酸味のある味。苦渋無く後口良い。残り香に軽い老香。
- 始禄 旨口 山廃仕込本醸造 17BY
酸味が中心にある旨口の味。
- 始禄 SW9-90P 純米酒 18BY
英数字の意味 S-始禄 W-渡辺責任醸造 9-9号酵母 90-精米歩合 P-純米酒(pure)
旨口の酒。常温保存なのだろうか?老香を感じる。
- 小左衛門 純米吟醸山廃雄町 18BY
山廃にしては軽い感じの酸。旨みのある酒。後口も良い。
- 小左衛門 本醸造 山廃無濾過生原酒 18BY
トロリとした舌触り。甘味の後バランスがとれた酸が中心の味。後口も良い。
- 小左衛門 山廃純米酒 特A山田錦 18BY
山廃らしい酸が中心にある味わい。味が真ん中に集まる印象がある。
- 小左衛門 手造り純米酒 18BY
スッキリした旨みのある酒。後口も良い。
- 小左衛門 K9-90P 18BY
旨味の後苦辛が表面に出る。味の濃い酒。燗で飲みたい酒。
- 小左衛門 純米梅酒 2007年6月 純米酒の梅酒。
立ち香は梅の香り高い。砂糖入りであるが梅の酸がフルーティでベタベタしない。後口も渋味等の雑味が無くスッキリとしている。残り香も梅の香高い。
- 始禄 忘れっぽい天使 18BY
4段仕込み。甘い入り口フルーティな味わい、苦辛無し。後口も良い。
- 小左衛門 三年熟成
立ち香は老香を感じるが、味はこなれた旨みのある味。
- 小左衛門 純米吟醸仕込20号 直汲(じかぐみ) 18BY
酸の厚い味、まだ麹の味が生きているような活発な味わい。残り香に感じる物がある。
- 小左衛門 純米吟醸 美山錦 18BY
バランスのとれた味である。後口は軽い苦味系。
- 小左衛門 特別純米 18BY
バランスのとれた味。購入酒に感じた苦味もない。矢張り吟醸風の広がる世界がある。
- 小左衛門 初のしぼり 19BY(2007年11月5日搾り)
スッキリとした薄めの味。温和しい味わい。バランスがとれているが真ん中に固まる印象。
- 小左衛門 純米吟醸 仕込20号 18BY
酸味系の穏やかな味。バランスが取れた味わい。後口も良い。
- 小左衛門 純米吟醸 仕込38号 備前雄町 18BY
吟醸香あり。フレッシュ感残した厚みのある味。後口はピリ系。評価8.5。
- 小左衛門 純米大吟醸 備前雄町 18BY
大吟醸であるが広がりは余り感じない旨みの厚い世界。バランスの取れた味。
- 小左衛門 純米大吟醸 無濾過生 18BY
バランスの取れた味。味わいは辛口である。後口はきれ良く早く終わる。
- 小左衛門 純米吟醸 13号 播州山田錦 斗瓶取り18BY
バランスの取れた味。広がりもある。苦味あるが底に抑えられており後口も良い。
- 小左衛門 純米吟醸 美山錦 斗瓶取り 18BY
スッキリとした入り口。味は酸より苦味系。後口はピリ味。
- 小左衛門 純米吟醸 仕込38号 斗瓶取り 18BY
甘い入り口の後、酸より苦辛系の味わい、味が真ん中に集まる印象。後口はピリ系。
- 小左衛門 純米大吟醸 斗瓶取り 18BY
甘い入り口の広がりのある世界。大吟醸であるが味も厚い風格のある酒。後口はピリ辛系。
色々な味わいの酒があり、冷やに向く酒・燗に向く酒があり、それぞれ良いところがあるが、特に筆者の嗜好にあったものを抜き出すと、下記の6種類である。
- 小左衛門 純米吟醸山廃雄町 18BY
小左衛門は月替わり限定販売が多いので、入手不能なものが多いが、これは2008年3月発売らしい。
- 小左衛門 純米梅酒 2007年6月
香り高い完熟南高梅を純米酒(始禄SW9-90P)に漬けたもの。梅の香り高く気品がある。甘い梅酒だがベタベタしない。後口のキレも良い。限定生産のため、残念ながら入手は出来ないか?
- 小左衛門 純米吟醸 仕込20号 18BY
2008年1月発売。
- 小左衛門 純米大吟醸 備前雄町 18BY
2007年12月発売。
- 小左衛門 純米吟醸 13号 播州山田錦 斗瓶取り18BY
2007年12月発売。
- 小左衛門 純米大吟醸 斗瓶取り 18BY
2007年12月発売(?)
春と同じように試飲会場奥に燗酒の道具が用意されているので、燗で飲んでみたい酒を23銘柄すべて燗にして飲むことが出来る。ちろりに温度計が付いているので温度もお好み次第である。
【出店】
庭の主榎木が葉を着けている姿を初めて見た。もう晩秋の時、葉も黄色く染まっている。木枯らしではないが時折吹く強い風に黄葉がバラバラと音を立てて落ちている。
その榎木の下に、今回は出店がある。土岐の「みくに茶屋」が出店し、秋の味覚を用意し、販売している。
「みくに茶屋」は、地元の天然自然薯料理が専門だが、季節の茸類も出している。
自然薯のとろろ御飯、自然薯の刺身などを販売している。
天然茸のおろし掛けと自然薯の刺身をいただいた。
茸は色々なものが入っているが店頭で販売されていない地物があり、名前が判らない。ぼそぼそとした珍しい食感の茸もあった。
試飲コーナーの一角に酒粕が販売されていたので早速購入した。限定売り切れ御免である。