昨日の雨・黄砂・烈風が去り、今日は花見日和となった。
JR名古屋駅も列車の中も花見客らしき人々に満ちあふれている。今日は、春も満開である。
JR岐阜駅の2階にあるTAKUMIミュージアムに着く。
踏切事故による遅れで、開始時刻の1時を5分過ぎていた。
会場入り口は、入場者が集い、入り口の左右には参加蔵の菰樽が積み上げられて、お祭りの雰囲気が賑やかしい。祭囃子が聞こえそうである。
「美濃・飛騨酒蔵の集い」は岐阜の有志の酒販店の集まりである酒楽六舗が企画開催をしており、今年で14回目の歴史を刻んできている。
今年のテーマは「日本酒・旨いを哲学する」である。
今回の参加蔵は19蔵。(美濃・飛騨18蔵様、特別参加1蔵。)
菊川株式会社(篝火), 所酒造(房島屋),三千盛(三千盛),白木恒助商店(達磨正宗),蔵元やまだ(玉柏), 御代桜醸造(御代桜),林本店( 栄一),老田酒造店(鬼ころし),吉田合資会社(大輪),渡辺酒造醸(美濃錦),林酒造(美濃天狗),小町酒造(長良川),天領酒造(天領),三千櫻酒造( 三千櫻),平野醸造合資会社(母情),千代菊株式会社(千代菊),恵那醸造(鯨波),布屋 原酒造場(元文)
特別参加蔵:関谷醸造株式会社 蓬莱泉(空)
入場し、受付で前売り券を提出すると、利き酒用のガラス製の杯とパンフレット、利き当てクイズの解答用紙を渡される。
会場は長方形の部屋で壁の四面に沿って蔵の暖簾が掛けられてその前のテーブルにはズラリと各蔵の旨い酒が試飲に提供されている。蔵によっては旨いを哲学するため、肴を用意しているところもある。
会場の中央にはテーブルが設置され、その上には煎餅等のスナックと各蔵の名前入りの4号瓶が置いてある。
仕込み水が和らぎ水として随時利用できるように心配りがされているので、安心して利き酒が出来る。酒は飲んでも飲まれちゃならぬ。
会場内は始まってから間もない筈だが、すでに老若男女入り乱れて盛り上がっている。
各蔵のテーブルは人が付き、近寄れないところが多い、お花見会でお世話になった所酒造さんに敬意を表して最初に寄らせて頂くことにした。
【味見酒寸評】
なにぶん19蔵、60銘柄以上の試飲が可能である。すべては無理であるが、和らぎ水のお世話になりながら時間ぎりぎりまで持続して、19蔵、39銘柄の銘酒を味見させて頂いた。各銘柄毎に書いても、読み手に煩瑣であるため印象に残ったものだけ報告させて頂く。
ところがである、この昭和59年醸造酒を鼻先に近づけたとき、奈良漬けの臭いはしなかったのである。
この香りは覚えがある。陳年15年の紹興酒の香りと同類のもの、香しく高貴なものを感じる。
口に含むと紹興酒の酸味系の味ではなく、まず甘い世界が広がり、次に、言葉で表現することは難しい旨味(20年の歳月が醸した味の厚み、それはアミノ酸だとしても分析することは不可能であろう。)が舌に広がる。
最後が、真骨頂である。旨味を感じている内に、忽然と消えるのである。目の前にいた仙人がスーっと、見えなくなり、夢を見たかと思うが、いやそこには仙人がいた余韻が残っていることは感じられる、そんな体験である。キレが良いとか残味が軽いという表現とは次元の違うものである。
「達磨正宗 熟成三年」と「達磨正宗 十年古酒」も味見させて頂いた。
熟成三年の香りは奈良漬けの香りである。味は甘く、酸味は軽い。残味は嫌味の無いものである。
十年古酒の香りは奈良漬けではなく「昭和59年」に近いものになる。味は三年に比べ旨味の厚みを増すが、「昭和59年」の、鼻から抜け空に消えていき、そこには高貴な余韻が残っているような世界は未だ無い。
ざっくり言えば、香り十年、余韻二十年という事なのであろう。恐るべし、二十年の星霜。
ナショナリストの報告者は同じ非蒸留酒でありながら紹興酒の陳年の持つ高貴さに日本酒の古酒は遠く及ばないと不満であった。「達磨正宗 昭和59年」は、ブレイクスルーにより、その不満から報告者を解放してくれたのである。
東京農業大学短期大学部醸造学科酒類学研究室の中田久保教授が花から清酒用の酵母を分離培養に成功したものとのこと。
http://hanakoubo.jp/
花酵母の種類は以下のものが紹介されている。
それぞれの花酵母により個性があるそうなので、一通り味わってみたいものと楽しみが増えた。
ちなみに、「杜氏の持ち帰り酒」はナデシコだそうである。
【報告者感想】
報告:Y