「安兵衛で日本のお酒を楽しむ会」に参加しました。(2006.2.26)
春のような陽が暖かく降り注いだ昨日とは打って変わって、冷たい冬の雨が容赦なく路面から跳ね返る肌寒い日となった。
地下鉄日比野駅から地上に上がり、五差路の交差点に立ち見回すと、案内図にあった花屋の看板が眼に入る。花屋の前の道路は住宅街の小路となっており、雨の所為か人も車もいない。
歩道をしばらく歩むと右手にそれらしき建物が目に入る。
傘を差したまま建物を見ると安兵衛の木造の看板が眼にはいる。
無事に到着し安心した。

会は午後3時から始まるが、受付開始の2時に合わせて到着した。
ガラス格子の引き違い戸を右手で開き、中にはいると、女性がいらっしゃいませと声を掛けた。まだ若いが世に言われる若女将のように思えた。
コートを預かっていただいた後、左手の襖の続いた座敷へお上がりくださいと案内される。開始1時間前なので、まだ誰も来ていないと思っていたところ、左手で襖を開くと、すでに10名を超える参加者が着座しており、会の熱気を感じた。こんにちはと挨拶し、テーブルに近づくと座席指定になっており、自分の氏名を言い、所定の席に座った。
【第8回安兵衛で日本のお酒を楽しむ会】
今回のテーマは「本当に旨いのか? 人気の限定酒ブラインドテイスティング」となっている。
- [出品酒] 以下合計15銘柄
- ブラインド用11種
- 田酒 特別純米 16BY
- 田酒 特別純米山廃仕込み 16BY
- 田酒 純米大吟醸 百四拾 16BY
- 田酒 純米吟醸 山田錦 16BY(写真無し)
- 田酒 純米大吟醸 斗壜取 16BY
- 夜明け前 特別本醸造 辰の吟
- 磯自慢 純米大吟醸中取り40愛山 15BY
- 磯自慢 純米大吟醸中取り40愛山 16BY
- 磯自慢 大吟醸愛山グラッパボトル 16BY
- 十四代 大吟醸中取り 播州山田錦 16BY
- 十四代 双虹 16BY
- 十四代 大吟醸中取り 播州山田錦 16BY
- 利き当てクイズ用4種
2.磯自慢 本醸造
3.梵 特醸 純米
4.天の戸 無濾過純米美稲80
1.白鶴 端麗純米
- 会の進行
まず、4銘柄の酒の利き当てを行う。(1升瓶の4銘柄はブラインドされていない。肩口に番号を付けて入れてある。)

次に、11銘柄のブラインドテイスティングを行う。
(11銘柄の中に本醸造が1種類入れられている。新聞紙でブラインドされた1升瓶が7本、4合瓶の銘柄は瓶の形状をブラインドするため透明なガラス製の肩口に入れられている。)。
ブラインドが終わり、評価シートが回収された後は、新聞紙を除き限定酒達に対面し、自由に楽しむ。
評価シートには利き当ての4銘柄の番号、11種のうち唯一の本醸造の番号、11種のうち上位3銘柄の番号を記入し提出する。
先の2つは各人のクイズに対する解答である。
クイズには賞品が用意されている。
あの黒龍酒造製の石田屋ラベルのチョコレート(非売品)である。

- 本日のお肴・料理
日本海産の天然寒ブリを中心とした豪華な内容である。
【ブラインドテイスティングの結果】
安兵衛さんのホームページを訪問したところ、会の公式評価結果が掲載されておりました。
主催者のニッコリ微笑む様子が想像できるような「とんでもない結果」となっておりますので、一度ご覧下さい。
【報告者の個人的感想】
- 田酒・十四代・磯自慢の限定酒がそれぞれ複数銘柄提供され、同時性のある飲み比べが可能なまたとない機会なので参加しましたが、目的通り大変勉強になり、満足感に満ちた楽しい経験となりました。
- 参加者は20名。男性16名、女性4名。内初参加は3名+α。
年齢層は最若年24才から40才くらいまでの様で当会の方が年齢層に幅がある様に見えました。参加者は常連の方が多く、酒の道の実力が会話の中にうかがえました。他の酒の会のメンバーも多く含まれている様子でした。
- 酒の会ですが料理もすばらしく、寒ブリ他を堪能できました。
特に美味しかったものはブリ袋とも和え:胃袋を肝であえたもの。袋の食感の後肝の旨みが尾を引く。
ヒラメ縁側:お造りはどれも美味しかったが、これはコリっとした食感の後、油の甘い旨みが口中に広がりました。
真鱈白子:まったりとした食感の後、旨みがじわ〜と長く続く。
寒ブリのしゃぶしゃぶ:厚さ5mm以上手のひらの3分の2ぐらいの大きさの刺身にする鮮度の寒ブリを陶製の大鍋で3往復させ、切り身に合わせて大きめの器に入れられた醤油ベースのおろしポン酢で食す。
このポン酢がいい。酢の刺激的なところが無く、甘く酸っぱく、寒ブリの脂を押さえて口中にブリの旨さを引き出す。
このしゃぶしゃぶは絶品でした。
たらの芽・コゴミの天麩羅:ほろ苦さの中に春が近いことを感じました。
【蛇足・報告者のブラインド評価】
- 田酒 特別純米 16BY: 旨味の酒、口に含んだ後旨みが真ん中に集まる。味が濃く、田酒の山廃かと思った。評価7.5。
- 田酒 特別純米山廃仕込み 16BY:Aと同じ旨味の酒、香りはあまり無い、味が広がらずに真ん中に纏まる。後味に麹の味が微かに残る。評価7.0。
- 田酒 純米大吟醸 百四拾 16BY:口に含んだ瞬間、甘さが感じられ、次に口中に爽やかな世界が広がる。調和のある味で酸味が表に出てこない。上品な世界である。田酒の中では最も十四代 に近い。評価9.0。
- 田酒 純米吟醸 山田錦16BY:甘さの後、酸味系の味がする。
フレッシュな印象。評価7.5。
- 田酒 純米大吟醸 斗壜取 16BY:広がりのある世界、Cと同じ味であるが、この方が味が濃い。評価8.5。
- 夜明け前 特別本醸造 辰の吟: 透明な世界、癖を感じさせない、調和感のある味。評価8.0。
- 磯自慢 純米大吟醸中取り40愛山 15BY:まず広がり次に酸味の旨みが来る。残味は辛み系。 評価8.0。
- 磯自慢 純米大吟醸中取り40愛山 16BY:香りはあまり感じない。旨みはあるが熟度が進み過ぎか味が薄い印象。 評価7.5。
- 磯自慢 大吟醸愛山グラッパボトル 16BY:口に入れた瞬間広がるが、旨みは薄い。残味に微かにアルコールの辛みがある印象。
評価7.5。
- 十四代 大吟醸中取り 播州山田錦 16BY:吟香あり。口に含むとまず甘い。広がりがあり、次に酸味のある旨みがある。残味は良い辛み系。 評価9.5。
- 十四代 双虹 16BY :上品な世界で、旨みあり。調和の世界。
評価9.0。
上位3位は、J、C、K(CとKは同点)となった。
田酒派の報告者としては善知鳥に参加してもらいたかったが、やむを得ない。
このような飲み比べでは自己主張の強いものが印象に残る面があり、口に含んだ瞬間の広がりが大きく影響するように思える。
独断で言えば、十四代は化粧美人、田酒は素顔美人か? 田酒の中ではCが最も十四代に近い爽快感を持っていた。
クイズの結果
利き当て:不正解。@とBが逆であった。20名の内1名正解者がいた。
本醸造当て:Fで正解。結果は正解だったが、本当のところは解らなかった。旨みの薄い3種類の内迷ったが、最後は感だった。感で石田屋チョコをゲットした。
どれもなかなかお目にかかれない限定酒を楽しみ、旬の美味しい料理をいただいた後の帰り道は、快い酔いも手伝い、折良く雨のあがった歩道を行く足取りは軽いものとなった。前を行く二人の参加者の足取りも千鳥足である。また、参加しよう。
報告:Y
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