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日本酒の会 sake nagoya 「定例会」の報告

日時:2015年2月20日(金)
場所:旬彩処かのう(名古屋市中区三の丸一丁目)
テーマ:「長期熟成酒」
参加者:50名

 

今回のお酒(順不同)
銘柄
/ 種別
/ 使用米・精米歩合
製造
(産地)
購入
価格
把握する
銘柄取扱店舗
参加者のコメント
上喜元
純米大吟醸愛山 2011
愛山 ・ 43%
酒田酒造
(山形県)
5,832
(1.8L)
酒泉洞堀一、 あさい商店、 サケハウス
薄い黄金色の酒色。醪の香り屋フルーティな香りが高く、熟成感は感じられない。甘味と裏打ちされた酸味がありバランスが良い。柔らかな落ち着きが感じられる。 12
萬代芳
山廃仕込純米生原酒
五百万石 ・ 55%
2004BY
白井酒造店
(福島県)
2,921
(1.8L)
調査中
薄い黄金色の酒色。フルーティで生酒の面影がある。最初は辛味が襲いその後、強い甘味、酸味そして旨味を感じる。メローでやや粗い印象。ややピークを過ぎているかも。 7
義侠

山田錦 ・ -
山忠本家酒造
(愛知県)
7,200
(1.8L)
サケハウス、 シバタ、 知多繁ほか
薄い黄金色の酒色。微かに吟醸香を残した軽い熟成香。優しい甘味に微かな酸味が寄り添いバランスが良い。きれいで、すっきりした辛口。 10
くどき上手
出品大吟醸古酒十年
山田錦 ・ 35%
亀の井酒造
(山形県)
4,860
(1.8L)
吉田屋
薄い黄金色の酒色。木の香りやフルーティな香りがあり、熟成感は感じられない。上品な甘味があり、酸味は低目。旨味は少なく、少しアルコール感が感じられる。最後はしっかりした苦味が締めくくる。 11
菊姫
大吟醸
山田錦 ・ 50%
2000BY
菊姫合資
(石川県)
19,440
(1.8L)
調査中
薄い黄金色の酒色。吟醸香が衰え少し熟成感が感じられる。甘味は力強く酸味は控え目。アルコール感の強さと控え目な旨味ですっきりした印象。 8
帰山
参番純米吟醸 古酒
山田錦 ・55%
1999
千曲錦酒造
(長野県)
3,240
(1.8L)
吉田屋、サケハウス 琥珀色の酒色。華やかで香ばしい熟成香がある。先ずインパクトのある酸味を感じるが、まろやかできれい。その奥から甘味や旨味が顔をのぞかせ、様々な味のきらめきが感じられる。 9
黒松翁
秘蔵古酒 「16年者」
国産米 ・ -
1998
森本仙右衛門商店
(三重県)
4,320
(1.8L)
調査中 やや薄い黄金色の酒色。華やかな熟成香と少し甘い香りが感じられる。強い甘味があり、酸味は少なめだが、強いアルコール感と苦みが味を引き締め、さらりとした辛口の印象。 6
天狗舞
山廃純米大吟醸生
山田錦 ・ 35%
2007年3月出荷
車多酒造
(石川県)
10,800
(1.8L)
吉田屋、久田酒店、酒のさいとう ほか やや薄い黄金色の酒色。フルーティな香りが残る。上品な甘味、バランスの良い酸味が穏やかな世界を作り、その後、強い苦みが味を引き締める。アルコール感強い。やや長期熟成酒としては不釣合いか。 3
奥鹿
生酛 山田錦六〇 無濾過原酒
山田錦 ・ 60%
2010年3月上槽
秋鹿酒造
(大阪府)
4,644
(1.8L)
ごとう屋、酒屋はやし 黄金色の酒色。濁りのない豊かな熟成香がある。甘味は少なく、きれいな酸味が感じられる。醤油のニュアンスの幅のある旨味があり、アルコール感が強く、辛くて切れもよい。 1
剣菱
瑞祥黒松剣菱
山田錦 ・ -%
5年以上の古酒をブレンド
剣菱酒造
(兵庫県)
5,259
(1.8L)
吉田屋、市内主要スーパー 黄金色の酒色。少しスパイシーな熟成香や蜜の香りがある。甘味とすっきりした酸味がバランスよく感じられ、濃淳。ぼんやりした旨味が苦味を伴いながら広がる。少し気になる匂いがあるかも。 2
開運
大吟醸秘蔵古酒
山田錦 ・ 40%
1983年から1991年の原酒を1994年6月に調合
土井酒造場
(静岡県)
10,800
(1.8L)
シバタ、 久田酒店、あさい商店 ほか 黄金色の酒色。濁りのない華やかで香ばしい熟成香がある。粘性があり口に含むと奥の方から甘味とさらりとした旨味が顔を出す。酸味は控えめで苦味が味を引き締める。ビターチョコのニュアンス。 5
小笹屋竹鶴
生酛純米大吟醸原酒 無濾過木桶仕込
八反 ・ 40%
2009BY
竹鶴酒造
(広島県)
12,960
(1.8L))
富屋酒店 黄金色の酒色。香りに特徴がある。甘味は少なく強い酸味があり、苦みが強い。やや味の広がりに欠け、バランスが良くないかも。気になる匂いが感じられるかも。 4

五味

特徴

(注)この評価は、単に参加者の感想を集計したものであり、他意はありませんので、ご了承ください

(コメント)

幾つか、目の覚めるような熟成酒があった。長期熟成酒の会、お楽しみいただけたでしょうか。
今回の会で改めて感じたことが2つあった。
一つ目は、長期熟成酒とは何なのかということだ。手元にある長期熟成酒研究会編の『古酒神話』によると、長期熟成酒とは「満3年以上蔵元で熟成させた、増醸酒を除く清酒」となっている。典型的なタイプは、黄金色や琥珀色のタイプ。時間の経過とともに熟成し、滓が2度、3度下がり、酒がすっきりとし、木の実、キャラメル、ハチミツなどの香り、味としては香りと一体となったまろやかな甘味、刺激を感じさせない重厚な旨味を持つようになる。いかにも古酒然としたタイプだ。もう一つの典型は高精米の日本酒が低温で熟成されたもの。この場合、色も香りも味も大きな変化は生じていない。前者の場合は、わかりやすいが、後者のものを大吟醸ではなく長期熟成酒としてどのように評価するのか。時間の経過をどのように見極めればよいのか。コメントの中にも「普通にうまい」という声があったが、誠に難しい問題がある。
もう一つは、熟成酒に関わる言葉の貧困である。これは私が問われていることだが、熟成感があるぐらいしか言えないのである。やや専門的だが、少し熟成が進んだお酒では、蜜の香り、更にバニラ、焦げた香りがある。これぐらいならよいが、干しぶどう、プルーンなどのドライフルーツ、シナモン、アニス、などのスパイス、アーモンド、カシュナッツなどナッツの香りとなるとかなり難しい。その上、苦みが時間の経過で生まれたものか、酸味がエステル化によってすっきりしているか、アルコールが熟成してまろやかになっているのかなど、これはもう絶望的である。このことは端的には採点表の「香り」の評価にも表れてると思う。つまり、いつもはサクエチやカプロン酸系の香りを「香り」と認識しているので、熟成香は華やかでもなかなか「香り」として評価できなかったのではないかと思う。
飲み慣れていないとは言え、様々な課題を感じた長期熟成酒の会であった。
さて、次回のテーマは「生酛(きもと)」。私は、生酛を飲んでも山廃と区別がつかない程度の飲み手である。大いに勉強(?)したい。(T)



今月のテーマは「長期熟成酒」。肴はホタルイカの酢味噌和えからスタートです。


かのう名物?マグロの中落ちです。さぁ、スプーンを持って!


このラインナップ、日本酒初心者には少々ハードでしょうか?


牡蠣の入った味噌仕立ての鍋です。あとで雑炊にしました。


古酒が大好物の参加者たち。


焼いた空豆、お塩でどうぞ。来月もよろしく!

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