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2012/1/12(土)第1回名古屋酒蔵環境研究会に参加しました。

 

今回は、名古屋で初めて「酒蔵環境研究会」が開催されるということで、どんな会なのかと思い参加してみた。
会場の北区生涯学習センターに行くとすでに15人ほどの人数が集まっていた。どちらかといえば若い女性が中心だ。ここでは第一部として、「気仙沼の復興の現状と課題」をテーマに講演会が行われた。
講演した酒蔵環境研究会の代表幹事の世古氏は、住民参加、市民参加が専門の学者。この研究会は、酒蔵を核にしたまちづくりを進めることを目的とした会のようである。sake nagoyaが純粋に消費者サイドに立つ会とするなら、この会は生産者とのコラボを進めるとのことだから、やや生産者サイドに立って蔵を応援する会のようである。

講演は、蔵の数が最盛期の三分の一まで減少した厳しい日本酒業界の現状から始まった。氏はこのような厳しい現状の中で、酒造りに地元の米を使う「地米酒」の生産を蔵に呼びかけている。地米酒とは、地元で作った酒米で作る地酒のことだ。酒造りが地元の農業と結びつくことで、経営が地域に根を下ろし、また地元にとっても1年を通しての雇用が創出されるというメリットもあるという。また、酒造りは販売や消費を拡大していくことも重要なので、硬い話ばかりではなく全国各地で日本酒会を開き、飲み手を育てている。氏は特に宮城県の気仙沼では震災以前から、地域の核としての蔵を応援する活動を続けており、その中で全国新種鑑評会金賞受賞の常連である男山本店との付き合いが始まった。

今回の東北大震災で東北ではいくつかの蔵が被害を受けた。被害は土台を残してすべて流されてしまった蔵もあれば、地震の振動や停電で製造過程や貯蔵タンクに被害のあった蔵、津波は来たが水は膝ぐらいまでだったという蔵など様々だ。男山本店の場合は、国の有形文化財の木筋コンクリートの本社屋などが津波の被害を受けた。社名の入った特徴のある建物の写真が新聞にも掲載されたので、ご記憶の方も多いのではないか。
氏は男山本店を様々な形で支援する活動も行っている。例えば、「呑みボラ」。これは、蒼天伝の4合ビン2本を送料込みで5,000円で購入する活動。これなら気楽に蔵の支援ができる。

また、被災地の現状についての貴重な報告もあった。現在被災地では、住民の命と財産を守るため国土強靭化の計画が進められており、気仙沼にも10m以上の高さの防潮堤の整備計画がある。100年に1度の津波に備えるためとはいえ、気仙沼の美しい景観や地元住民と海とのつながりが絶たれるという問題が指摘され、その適否について勉強会が続けられている。安全、住民による意思決定、整備に必要なコストと解決する課題は多いのだが、その現状についての詳細な報告がなされた。
私は、それこそ全国のお酒を飲み比べしているのだが、氏からは、「どの酒がおいしいという銘柄漁りではなく、顔の見えるお酒を大切にしていきたい」という地域を重視した発言が印象に残った。

講演会ののち、大曽根の「祭つり」に会場を移し第二部の懇親会が開催された。
懇親会では男山本店の蒼天伝と午前中に見学に行かれたと紹介のあった勲碧を代表の話を伺いながら飲み比べた。蒼天伝はしぼりたて生原酒と特別純米酒、勲碧は氷温熟成の純米酒と特別純米酒の4種類である。蒼天伝の新酒は、少し荒さが気になるが、生らしく香り高くジューシー。特別純米は、やや落ちついたたたずまいになっている。いずれも木のような香りと爽やかでシャープな酸味が特徴的。勲碧は、皆さんご存知のとおり軟水系らしいデリケートで淡い甘さが印象的。代表からは、酵母の話や酒器の話、食べ合わせの話が続く。参加者は自営の方や公務員や退職された方など色々。様々な日本酒にまつわる話に花が咲いた。

次回は3月30日(土)に京都の漆器メーカー象彦さんの社長を招き『京漆器の伝統と魅力〜漆の酒器で楽しむ愛知のお酒〜』をテーマに漆器、錫器、磁器のお猪口でお酒の味の違いを確認するとのこと。今後の活動を期待したい。

(報告:T)

 

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