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2007年4月22日(日)小左衛門試飲会に行ってきました。

小左衛門 全商品 試飲会(一般公開)
開催日:2007年4月22日(日)14:00〜16:00
場所:中島醸造株式会社
〒509-6101 岐阜県瑞浪市土岐町7181-1
電話:0572-68-3151 FAX:0572-68-3152
info@shiroku.co.jp

【道のり】
待ちかねた日なのだが、天気は午後から雨の予報である、傘を持って出かける事にしよう。中島醸造は瑞浪駅から歩いて10分程度のようなので、JR中央線で行く事にする。
車窓の流れ行く景色は、既に花の季節から新緑の季節に移っている。

瑞浪駅を降りると、駅前は日曜日の昼過ぎなのだが、あまり人影は目に入らない。瑞浪には蔵が二つあると思っていた、中島醸造と「蔵元若葉」である。地図を見ると、駅からほど近いところに「白梅酒造」の記載がある。3つ目の蔵を探検することとする。
駅前の旧商店街を抜けると、最近区画整理されたのか、道路は碁盤の目のように見通しが利き、建物は新しく、低層のため、空が目に入り明るい。人は殆ど歩いていない。
白梅酒造は広いとおりに面していた。キリンビール特約店の看板が目に入る。黒い鉄柵の門扉が閉じられており、猛犬注意の表示がある。覗いてみるが、もう造りはしていないようだ。すると、猛犬にしては細い声の犬が盛んに吠え始めた。しっかり仕事をしている彼に敬意を表して引き揚げることとした。

所々に、うどん丼もの一式、お好み焼きの看板が、目にはいるが、昼食時とは言え、人がいない。人影のある店にはいるのが、知らない土地での鉄則である。
遠くに2,3人の人が店に入る様子が見えた。近づくと「鵜船」の看板がある、和食の店である。日曜日なのだが、ランチもあるらしい。入ることにする。
店内は、カウンターも小上がりも満席である。カウンターに一つ空いていた席に座る事が出来た。目の前の自動燗付け器には、「始禄」の一升瓶が逆さまにセットされている。

 

840円という値段を前提に、出されたお膳を見ると、店主のお客様への気持ちを感じる。
お刺身:まぐろ、甘エビ、烏賊
天麩羅:海苔、ししとう、南瓜、キス、海老
焼き物:はたはたの一夜干し
蒸し物:茶碗蒸し(しいたけ、海老、蒲鉾)
付け合わせ:鰹節と昆布の佃煮
香の物:大根、葉のつけもの
椀もの:昆布と豆腐のみそ汁
天麩羅も温かく、はたはたの一夜干しは手作りなのだろう、生生きとしていた。
立派なものである。

病院の横を通ると、右方に土岐川が見えた。道路を行くのは止め、川に沿って歩くことにする。もう、対岸には黒塗りの建物に書かれた「始禄」の白い文字が目に入った。
この辺りの川幅は広く、左手の上流から右手の下流にかけて、空が明るく広がっており、町並みから解放される。川の流れる街はいいものだ。

 

中島醸造の駐車場は車で一杯であったが。正門前には、若い男の人が一人だけであった。会場の13:50の10分前にしては、人が少ない。雨の予報は気を滅入らせる。
潜戸から中を覗くと、門の左側にテーブルが並べられており、受付のようである。
右の仕込み場の方から、背広の15名ほどの人が歩いてきた。午前中は、一般公開に先立って、酒販店向けの試飲会が開かれており、その参加者らしい。

開場時間になり、正門が左右に開かれた。庭の中央の榎が目に入る。もう若葉で、木は緑の衣装を身にまとっているかと想像していたが、予想に違い、梢に若葉が見える程度であった。若葉の頃はもう少し先らしい。広い庭の中に、大きな木のある、この風景は快い。

 

【試飲会】
1年前に蔵見学に訪問させていただいたときは、3月であった。もう商品は粗方売れてしまい、手元に残っている酒も少なく。各種イベントも出来ない状態である。18BYは、手元にある程度残して、イベントを開きたいとの小左衛門氏の話であった。それから、丁度一年。お話の通り、試飲会が一般向けに開催されたのは嬉しいことである。
しかも、内容は、小左衛門、始禄の殆どすべてがわかる力のこもった真っ向勝負の試飲会である。

受付を済ませ、試飲酒の一覧表を受け取り、さあ、試飲の開始。
試飲会の会場は、門を入ってすぐ左の、通常は商品の展示即売コーナーである。
入り口前には、酒販店の人達、一般公開の参加者が溢れている。庭の写真を撮り、外で少し様子を見る。
日本酒の会の会員、飲食店、酒販店の顔見知りの人達に挨拶をし、会場に入る。

入り口を入ると、左から右へ横に細長い空間になっており、正面に通常は試飲即売コーナーであるカウンターがある。カウンターの横と通路を挟んで窓側にテーブルを並べ、試飲のお酒と利き猪口、酒のスペック・説明書が置かれている。蔵の人に注いで貰うのではなく、一人一人自由に手酌で利くことになる。
利き酒は、お猪口に入っているものを利いても良いし、カウンターに置いてあるプラスチックの使い捨てお猪口を使っても良い。一升瓶の先には注ぎ口が付けられているので、こぼしたりすることなく適量を注ぐことが出来る。
試飲の酒は、一般の蔵開きでは即売されることが多いが、この試飲会では、購入は出来ない。購入は後日、酒販店から購入が原則である。

試飲できる商品は、31種類もある。これだけあると、特徴を掴みながら、真剣に利いて、印象を簡単に記録するとなると、2時間の時間があっても、忙しいことになる。

会場の奥には、燗酒のコーナーがある。このコーナーでも新しい工夫があり、酒好きには堪らないサービスになっている。
普通の蔵開放では、蔵が燗向けの商品を用意して、その酒を提供するのが一般的である。
しかし、この試飲会では、31種類すべて燗で飲むことが可能である。自分の好みの酒をプラスチックの猪口に入れて、係の方にお願いすれば、燗を付けていただけるのである。しかも、温度の指定までも出来る。何と! 湯煎のチロリには、温度計が付いているのである。
日向燗から飛切燗までお好み次第である。
これでは、時間がいくらあっても足りない。困ってしまうのである。

【試飲一覧】
有難く、31種類の銘柄を試飲させていただいた印象を報告したい。
ただし、寸評は素人の筆者の独断・嗜好によっているので、当然の事ながら、万人の評価と一致するものではない。あくまでも、私見である事をご理解いただきたい。
また、試飲時点は4月22日であり、各銘柄は熟成の時間を経て出荷されるので、販売時点では、この印象とは当然違うものになっている筈である。
なお、プロの酒販店、割烹の評価記事もブログに掲載されているので、ご覧下さい。
「酒屋日記」 http://blog.livedoor.jp/hiro0041/?blog_id=1547878
「名古屋 割烹 安兵衛 3代目の飲み喰い日記」
http://plaza.rakuten.co.jp/nomikuinikki/diary/

  1. 小左衛門「小左衛門 純米大吟醸」 18BY 無濾過生 発売12月予定
    香り高い。酸味系の味だが早く終わり広がりは、まだあまり無い。後口は辛目。
  2. 小左衛門「純米大吟醸 播州山田錦」 18BY 無濾過生 発売7月
    香り高い。入り口に甘味あり、酸もあり広がりはあるが、麹の味があり、まだ若い。
    熟成が待たれる印象。
  3. 小左衛門「純米大吟醸 備前雄町」 18BY 無濾過生 発売12月
    香りはあまり感じない。酸味系の味、2より甘味は少なく、辛味がある、底に苦さを感じるが、熟成すれば広がりが出るか?
  4. 小左衛門 純米吟醸(播州山田錦)  18BY 無濾過生 発売5月
    香り有り。軽い入り口で広がり有り、軽めの酸味が丸く感じられる。後口は微かに辛味。
    現時点で筆者のお薦め、来月には入手可能とのこと。
  5. 小左衛門 純米吟醸(情熱純吟)  18BY 無濾過生 発売8月
    香り有り。丸い世界で、調和の取れた味でバランス良い。後口に麹味があり、まだ若い。
    熟成が待たれる。
  6. 小左衛門 純米吟醸(仕込み38号)  18BY 壜火入急冷 発売10月
    香りはあまり感じない。丸い酸味系の味、後口が少し重い。
  7. 小左衛門「純米吟醸 山廃雄町」 18BY 壜火入急冷 発売2008年3月
    香りはあまり感じない。酸味のある味、苦渋はなく、旨みが厚い。燗向きの印象。
  8. 小左衛門 純米吟醸(仕込み20号)  18BY 無濾過生 2008年1月
    香りよい。軽い入り口で広がり有り、丸い酸味が中心にあるがバランスが取れている。後口も良い。
  9. 小左衛門 純米吟醸(仕込み47号)  18BY 無濾過生 4月発売中
    香り有り。軽い入り口で、吟醸酒らしい世界である。酸味は表に出ず抑えられ、バランス取れている。後口も切れよく、嫌味ない。
    現時点では、筆者の好みに最も近い酒。小左衛門は、「無骨な酒」と言った飲み処の主がいたが、この酒を飲めば、その言葉は撤回せざるを得ないだろう。
    上品さのある一級の吟醸酒である。
  10. 小左衛門 純米吟醸(吟の精)  18BY 無濾過生 発売6月
    香り有り、軽い入り口だが、酸が少し足りなく、こなれすぎている印象。後口も残る。
  11. 小左衛門 純米吟醸(美山錦) 18BY 無濾過生 発売中通年商品
    香りよい。酸味のある味で、広がりはあまり感じないが、旨みを感じる。純米酒の雰囲気のある吟醸酒。
  12. 小左衛門「特別純米」 18BY 壜火入急冷 発売9月
    香り有り。広がり有り、バランスの取れた味で調和した世界がある。吟醸酒の雰囲気のある純米酒。後口も良い。
    これは、お薦めである。筆者はもう発売して欲しいと思うが、逐次である。
  13. 小左衛門「手造り 純米酒」 18BY 火入 2008年1月
    麹の香り? 軽い酸味の旨みのある酒。後口良い。
  14. 小左衛門「山廃純米酒 無濾過生 播州山田錦」 18BY 無濾過生 2008年2月
    香りはあまり感じない。酸味が押している味、後口に残るものがある。燗向きか。
  15. 小左衛門「山廃無濾過生原酒(本醸造)」 18BY 無濾過生 発売11月
    酸、苦、辛それぞれの味がある。後口はピリ辛。
  16. 小左衛門「三年熟成無添加仕込 精米歩合80%」 2008年2月
    酸味系の味だが古酒の味あり、常温では癖を感じる。後口は辛味系。
    これは熱燗にしていただいたが、熱燗ではスッキリとして世界が変わる。
    後口も良くなる。ステーキなどこってりした料理に合わせられる。
  17. 小左衛門「K9-90P」 18BY 火入  出荷可能
    香りはない。酸味系の味、旨みがあるが、底に苦味があり、ちょっと重い印象。
  18. 小左衛門「純米大吟醸 うすらひ」 備前雄町
    香りよく、酸味のある甘い霞酒。後口スッキリとしている。
    花の時期は過ぎてしまったが、花見酒に最適。
  19. 小左衛門「山廃本醸造熟成原酒」 13BY 火入 発売中
    軽いナッツ系の熟成香有り、癖のある臭はない。甘味のある味。
    達磨正宗系の熟成の道を辿っている。熟成酒として良い。
    冷やで飲める古酒。燗は試さなかったが、おそらく旨みが増しだろう。
  20. 小左衛門 純米吟醸(仕込み38号) 袋吊斗瓶取り
    No6に比し少し軽い感じ。
  21. 小左衛門「小左衛門 直汲」 純米吟醸(仕込み 38号)
    香り有り、発泡感は直汲みとしては少ない、軽い感じ。サイダーのような爽快な世界。


    「直汲」とは蔵の渡邊氏が開発した直詰め機で槽から瓶に直接詰める、中島醸造オリジナルの製法である。

  22. 小左衛門「小左衛門 直汲」 純米吟醸(仕込み47号)
    5味がすべて詰まっている、濃い味。発泡感は少ない。
  23. 小左衛門「小左衛門 直汲」 純米吟醸(吟の精)
    香り良い。甘味50%、酸50%の味。発泡感有り。
  24. 小左衛門「小左衛門 直汲」 純米吟醸(美山錦)
    香り良く、甘味と酸味の味、シュワシュワの発泡感有り。
  25. 始禄 純米酒 ホッとひといき 16BY 火入 発売中
    16BYと思えない軽い味、異臭無く後口も良い。冷やで食中酒として楽しめる。
  26. 始禄 三百年 旨口 (本醸造 山廃仕込) 17BY 火入 発売中
    軽い老香有り。軽い熟成酒の味だが、酸味も残っている。燗して呑みたい。
  27. 始禄 三百年 爽 (本醸造 速醸仕込) 17BY 火入 発売中
    異臭無く、バランスの取れた旨みのある酒。後口も癖はない。名前の通り爽やか。
    これはお薦め、食中酒として和食から洋食まで、料理の邪魔をせず、気持ちよく食べ・酔えそうな酒である。
  28. 始禄 神庭 (純米酒) 18BY 火入 発売中
    軽い入り口、軽い酸味のある広がりのある世界。食中酒として良い。
  29. 始禄 忘れっぽい天使 (純米酒) 18BY 火入 発売6月
    甘酸っぱい味。ワイン酵母の酒か?
  30. 始禄 林泉 (純米酒) 18BY 火入 発売中
    軽い世界で呑みやすい。食中酒として良い。S4に比し、後口は苦味系。
  31. 始禄 純米酒 (渡邊良平)20%純米W9S-90P 18BY 火入 発売6月
    辛口の酒だが、辛味は感じない。旨み有り。軽い酸味と旨みの酒。
  32. 小左衛門「あヽなんとも旨き水よ」小左衛門 仕込水
    滑らかな丸い感じの旨みのある味、ミネラルが多いのかも知れない。軽く、柔らかく広がる世界ではない。
    日本の水は殆ど科学的には軟水だそうだが、灘の男酒、伏見の女酒と古来言われた理由の一つは水の違い。伏見に比べると灘の宮水の方がやや硬いそうである。松尾大社の亀の井の水は柔らかかったが、小左衛門の水は宮水に近いのかも知れない。
試飲会の酒は、まだ熟成段階のものも多く、できあがりが期待される反面、現時点で美味しいと感じたものは、発売中もしくは近く発売のようであり楽しみである。

終了時刻の16:00時になったが、去りがたい人達が残っている。
会場の外は、気付かないうちに雨が降り出している。
外に出てみると、残っている人達は、雨にも構わず、小左衛門氏とお話を楽しんでいる。
5時に近くなろうとする頃、雨は激しくなり、帰ることとなった。
名古屋で2次会を急遽行うことになった我々は、雨の中、快い酔いに身を任せながら瑞浪駅に向かった。
JRの車内で座を作り、小左衛門氏からいただいた一升瓶を傾け、酒談義に時を過ごす我々は、他の乗客の目には異様な集団に映ったに違いない。

小左衛門試飲会の報告はこれで終わりです。
お暇な方は、次にお進み下さい。

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