神戸に遊びに行ってきました。
阪神淡路大震災から10年振りの神戸の街は当時の状況を忘れて、北野も、三宮も、元町も南京町も人人人でした。
復興した神戸は海に空に巨大構築物をつくり、立体的な街の景観は未来都市の様相すら感じさせました。
変わらないのは六甲から見る夜景の美しさでした。
神戸・灘には日本を代表する大手酒造メーカーがあり、それぞれに資料館・記念館を設けているようですが、時間の都合で神戸酒心館だけ見てきました。
灘は日本の酒の歴史と重なっていますが、過去の存在ではなく、江戸時代から現在に至るまで酒を造り・酒の文化の中心で有り続けています。この館の銘柄である福壽も宝暦元年(1751)創業だそうです。
神戸酒心館は国道43号、阪神高速に面しており、交通量の多い市街地にあるが、道路を一本入ると、昔からの静けさを保っている。
白壁の長屋門の入り口を入ると、正面が酒造蔵、左の道をたどると食事どころ「さかばやし」、右手の道に進むと東明蔵と呼ばれる建物があり、その奥に神戸酒心館ホールがある。
「さかばやし」は酒を楽しみながら会席料理をいただく場所で、夜の部を控えて、玄関には観光客とおぼしき人達が列をなしていた。
ホールでは音楽会から落語まで各種イベントが行われている様子であった。
東明蔵は各種物産販売、試飲販売コーナー、バーカウンターを行っている建物である。入り口の右には、山田錦が植えられ、大きな稲穂が頭を下げていた。
入り口を入ると正面に大きな木槽が展示されている。現役の頃は一度に多量の新酒を搾ったものであろう。
左に進みすぐ右側に、試飲即売コーナーがあり、右側の棚一面に福壽が展示されている。真ん中に試飲テーブルがあり、酒匠さんが説明している。突き当たりにはガラス製の斗瓶があり、量り売り販売も行っている。
試飲ができる酒は、シャンパン風のもの、冷やおろし他6種類ほどあったが、車の運転があり、残念ながら試飲は諦めざるを得なかった。
量り売りコーナーには、熟成酒の大吟醸が年ごとに表示されている。リンゴ酸が2倍含まれている酒と表示されているものがあり、面白そうなので、購入することにした。
通路に戻り、奥に進むと広い空間になり、真ん中から左に各種物産・酒の販売スペースがあり、右側コーナーがバーカウンターになっており、おつまみと共に各種福壽を有料で楽しむことが出来る。
物産は全国の名産品が集められている。珍味・酒肴の範囲ではなく漬け物・食材が網羅され、道の駅の物産コーナーを遙かにしのいでいる。
酒器も陶器製・ガラス製各種取りそろえられている。
物産、酒器を購入し、会員になると各種資料を送付するとのことなので、入り口のカウンターでカードを作成する。
酒蔵でカードとは?と思えなくもないが、神戸酒心館の中では不思議な感じがしないのが不思議である。
時間は午後5時をまわっていたが、観光客がまだまだ入館してくる。駐車場に出ると、来たときより車の台数は増え、まだ新たな車が入ってきていた。
流石に神戸である。
【感想】
寡聞にして、福壽という酒は聞いたことがなかったが、酒心館の姿・佇まいを見て、日本酒の歴史・文化・伝統を代表する灘の一端が理解できた。
ここは蔵である以上酒は造るのであるが、それだけではなく、料理、物品、音楽会その他のイベントを同時に提供し、酒とのコーディネーション・コラボレーションにより訪問者の生活をより楽しくさせる機会を提供している。
愛知・岐阜では関谷醸造、中島醸造、三千盛が同じように活動しているが、ここまで多種多方面に且つ日常的に行われていることはない。
観光地の酒蔵の典型例である。帰途、滋賀県竜王町の松の司の蔵松瀬酒造に立ち寄ったが、ここは一般の見学を受けていない。評価の高い酒を醸し、提供するのみである。
物産コーナーの品揃えには驚かされた。全国の拘りの珍味・酒肴・食材が集められており、全国名産品コーナーである。たとえば、岐阜県の名宝村の名宝ハム、銀座三越の食材コーナーでもすぐ売り切れるという名宝レディースの「100%トマトケチャップ」まで置いてある。
リンゴ酸2倍の酒であるが。
ラベルは「清酒 高リンゴ酸 吟醸酒 原酒 生酒」
スペックは「原材料: 米・米麹・醸造用アルコール
精米歩合: 60%
アルコール分: 17度以上18度未満」
酒匠の話では、5年熟成させたものとのことであった。
味は、ナッツの香りがあり、色は淡黄色、ふくらみのある入り口、甘いフルーティな広がりの後ゆったりとした果実の風味の酸が広がる。残味は渋み・苦味はなく、微かな老香の後辛味を感じる。記憶を探すと長野の「帰山」が浮かぶ。
「帰山」より甘味が少なく、酸味中心の世界である。
時間の関係で、今回は神戸酒心館しか訪問できなかったが、灘には大手酒造メーカーの菊正宗・白鶴・沢の鶴の資料館・美術館が公開されており、その他にも吟醸工房・記念館が見学できるようである。
次回は車ではなく、灘の酒蔵巡りのみを目的として神戸に来よう。
(報告:Y)